便通異常(便が細くなった・残便感がある)
便通異常(便が細くなった・残便感がある)

「最近、便が以前より細くなった気がする」「排便後もすっきりしない残便感が続いている」——そのような症状を感じながら、忙しさや恥ずかしさから受診をためらっている方は少なくありません。
しかし、こうした便通異常は、痔や過敏性腸症候群などの良性疾患だけでなく、大腸ポリープや大腸がんのサインである可能性があります。
健康な成人の便の形状は、なめらかな半固形〜柔らかいバナナ状が理想的とされています。便が細くなる・残便感があるという状態は、大腸や肛門に何らかの異常が生じているサインである可能性があります。
便の細さに明確な医学的数値基準はなく、重要なのは「以前と比べて明らかに変化した」という点です。こうした便通の変化に加え、以下のような症状がある場合は、速やかに医療機関を受診することをお勧めします。
便通異常の背景には、さまざまな疾患が考えられます。
良性疾患から悪性腫瘍まで幅広く、症状だけから自己判断することは困難です。
1. 大腸がん
便通異常を引き起こす疾患の中で最も警戒が必要なのが大腸がんです。大腸がんは男女合計の罹患数で国内第1位のがんであり、死亡数でも女性第1位・男性第3位と非常に多いがんです。
特にS状結腸や直腸など肛門に近い部位にがんが発生すると、便の通り道が狭くなるため便が細くなりやすく、残便感が生じることもあります。早期のうちは自覚症状がほとんどないことが多く、症状が現れた時点では既にある程度進行していることも少なくありません。
2. 大腸ポリープ
大腸の粘膜に生じる良性の隆起性病変です。ポリープが大きくなると腸管の内腔が狭くなり、便が細くなることがあります。大腸ポリープの一部(腺腫性ポリープ)は放置するとがん化するリスクがあるため、発見次第切除することが推奨されます。
3. 過敏性腸症候群(IBS)
腹痛を伴いながら下痢や便秘が慢性的に続く機能性疾患で、検査をしても大腸に器質的な異常は認められないのが特徴です。ストレスなどが腸の蠕動運動に影響し、便が細くなる・残便感・腹部膨満感などの症状が現れます。下痢型・便秘型・混合型に分けられます。
4. 炎症性腸疾患
(潰瘍性大腸炎・クローン病)
大腸や消化管に慢性的な炎症が生じる疾患です。炎症により下痢・腹痛・血便などの症状が繰り返されます。若い年代での発症も多く、長期的な管理が必要です。
5. その他の原因
加齢による筋力低下・腸の蠕動機能の低下、食物繊維や水分の摂取不足、薬剤の副作用なども便通異常を引き起こすことがあります。
便が細い・残便感があるという症状は、単独で現れることもありますが、以下のような症状を伴う場合は、原因を確認するために医療機関への受診をお勧めします。
これらの症状はさまざまな疾患でみられるものであり、原因の特定には医師による診察・検査が必要です。
血便・粘血便
便に血液や粘液が混じる状態です。大腸がんやポリープが出血している可能性があります。「痔だろう」と自己判断せず、必ず医療機関を受診することが重要です。大腸がんによる出血は肉眼ではわかりにくい場合もあります。
便秘と下痢の繰り返し
便秘と下痢が交互に現れる場合、過敏性腸症候群の混合型の場合が多いですが、頻度は低いものの、腸管の器質的な狭窄(腸内腔が腫瘍などで狭くなっている状態)が背景にある可能性もあります。
腹痛・腹部膨満感
大腸が腫瘍などで狭くなると、腸の内容物が通過しにくくなり、腹痛やお腹の張り(腹部膨満感)が生じます。進行すると嘔吐を伴うこともあります。
貧血・体重減少・倦怠感
大腸がんが慢性的に出血することで鉄欠乏性貧血が起こり、めまいや疲れやすさとして現れることがあります。また、食欲低下や体重減少をきたすことがあります。
便通異常の原因を特定するために、当院では症状に応じた検査を段階的に行います。
問診・視診・触診で症状の経過・家族歴・既往歴などを丁寧に確認したうえで、以下の検査を組み合わせて原因の特定にあたります。
腹部レントゲン検査
腸閉塞(腸が詰まった状態)が疑われる場合に行います。腸閉塞がある場合、大腸内視鏡検査の前処置で使用する下剤が症状を悪化させるリスクがあるため、事前に確認が必要です。腸閉塞が疑われる場合は、適切な医療機関へご紹介いたします。
腹部超音波検査(腹部エコー)
超音波(エコー)を使って腹部の臓器を画像で観察する検査です。放射線を使わないため体への負担が少なく、痛みもありません。大腸やその周囲の臓器(肝臓・膵臓・胆嚢・腎臓など)の形態的な異常、腸管の壁の肥厚、腫瘤の有無、腹水などを確認することができます。
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)
便通異常の原因を最も確実に調べることができる検査です。肛門から細長い内視鏡を挿入し、大腸の内部(盲腸から肛門まで全長約1.5〜2m)を直接観察します。大腸がん・大腸ポリープ・炎症性腸疾患などの早期発見に最も信頼性の高い検査方法です。
大腸内視鏡検査では以下のことが可能です
大腸内視鏡検査が特に必要な方
「便が細くなった」「残便感が続く」という症状は、多くの場合は痔や過敏性腸症候群などの良性疾患ですが、大腸がんをはじめとする重篤な疾患が隠れている可能性もあります。
大腸がんは早期発見・早期治療ができれば、内視鏡的切除など体への負担が少ない治療で対応できることも多くあります。
当院では、消化器病専門医、消化器内視鏡専門医が問診と診察を丁寧に行い、必要に応じて血液検査や超音波検査、内視鏡検査を組み合わせて診断を行います。
気になる症状があれば早めにご相談ください。
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