膵がん・胆のうがん・胆管がん
膵がん・胆のうがん・胆管がん

膵臓は胃の後ろにある長さ約20cmの細長い臓器で、消化液(膵液)を分泌する外分泌機能と、血糖を調節するインスリンなどのホルモンを分泌する
内分泌機能の2つの役割を担っています。膵臓がんの多くは膵管に発生し、その大部分は腺がんという組織型です。
| 発生部位 | 主に膵管 頭部・体部・尾部のいずれにも発生しますが、膵頭部が最も多いとされています。 |
|---|---|
| 組織型 | 腺がんが大部分 神経内分泌腫瘍(NET)など性質の異なる腫瘍も発生しますが、通常「膵臓がん」は腺がんを指します。 |
| 年間新規罹患数(日本) | 47,540例(2023年) |
|---|---|
| がん死亡原因順位(男女計) | 4位(主要ながんの中で) |
| 5年生存率(全病期) | 約14%(院内がん登録データ) |
5年生存率は全病期を合わせると依然として低い水準にありますが、早期(切除可能)例では予後が大きく改善します。早期発見・早期治療が予後改善に直結します。なお、生存率は過去データに基づくものであり、治療法の進歩により今後の改善が期待されます。
| 喫煙 | 最もリスクを高める生活習慣因子。禁煙が膵臓がん予防に最も効果的とされています。 |
|---|---|
| 飲酒・肥満 | 過度の飲酒および肥満もリスクを高める因子として知られています。 |
| 家族性膵がん | 両親・兄弟姉妹・子どものいずれかに膵臓がん患者が2人以上いる場合、リスクが高まります。 |
|---|---|
| 遺伝子変異 | BRCA1/2などの遺伝子変異がある場合、膵臓がんのリスクが上昇することが知られています。 |
| 糖尿病 | 糖尿病の罹患はリスク因子の一つ。また膵臓がん自体が糖尿病を引き起こすこともあります。 |
|---|---|
| 慢性膵炎・IPMN | 慢性膵炎は膵臓がんのリスクを高める疾患。膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)も注意が必要です。 |
現在、膵臓がんに対して国が指針として定めた検診はありません。リスクが気になる場合や血糖値の異常を指摘された場合は、早めに医師へ相談することが勧められます。
膵臓がんは早期には症状が出にくく、早期発見が難しいがんです。進行するにつれ以下のような症状が現れます。
膵臓がんによってインスリンなどのホルモン分泌が減少することがあります。そのため、血糖値の異常を指摘された場合は、膵臓の検査について医師に相談することが勧められます。なお、これらの症状は膵臓がん以外でも起こりうるため、症状だけでは診断できません。
症状、危険因子(糖尿病・慢性膵炎など)、血液検査・超音波検査の結果から膵臓がんが疑われる場合、以下の検査が行われます。診断をより確実にするため、可能な限り細胞・組織を採取して病理検査が行われます。
治療方針は、まず「切除可能かどうか」の評価を行い、がんのステージ・性質・体の状態を総合的に考慮して決定します。診断されたときから緩和ケア/支持療法を並行して受けることができます。
切除可能性による治療選択
(標準治療)
手術(外科治療)
切除可能と判断された場合に実施。腹腔鏡下・ロボット支援下手術も選択肢の一つです。主な術式は膵頭十二指腸切除術(PD/SSPPD/PPPD)・膵体尾部切除術・膵全摘術の3種類で、がんの位置によって選択されます。
薬物療法(化学療法)
主に細胞障害性抗がん薬が使用されます。手術前後の補助化学療法として再発リスクを下げる目的でも行われます。がん遺伝子検査(MSI-High・TMB-High・BRCA変異・NTRK/RET融合遺伝子・BRAF V600E変異など)の結果によって、免疫チェックポイント阻害薬や分子標的薬が使用されることがあります。
放射線治療
切除可能境界・局所進行切除不能膵臓がんに対して、化学療法と組み合わせた化学放射線療法が標準治療の一つとして推奨されています。痛みの緩和・骨転移への疼痛緩和を目的とした放射線治療も行われます。
免疫療法
科学的に有効性が証明されているのは、MSI-HighまたはTMB-Highの場合に用いる免疫チェックポイント阻害薬のみです。これら以外の免疫療法で膵臓がんへの効果が証明されたものはありません。
緩和ケア/支持療法
がんと診断されたときから、体・心・社会的なつらさを和らげるために並行して受けることができます。痛みには鎮痛薬・医療用麻薬・神経ブロックが用いられ、黄疸には胆道ドレナージ、消化管閉塞にはステント術・バイパス手術が行われます。
上記のリスク因子に該当する方や、気になる症状がある方は、消化器病専門医にご相談ください。腹部超音波検査や血液検査など、負担の少ない検査から始めることができます。
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